【日々ごと短編】エラー、そしてオレンジのクッキー
――「日々ごと短編」では、スマイディアで働く人々が描く、日常のちょっとだけあったかいお話を小説にしてお届けします。
今回は事業推進室、Hさんのお話です。
WEBや動画制作、SNSなど多岐にわたる事業の推進を担当しているHさん。事業推進室みんなの頼れるお姉さんです。
そんなHさんの心に残っている、お客様とのエピソードとは…….?
エラー、そしてオレンジのクッキー
「おはようございます。スマイディアのHです」
その日、私はひとり、WEBサイトのサーバー変更のためにある高校に出向いた。
「スマイさん! よろしくお願いします」
こちらですと担当の先生に職員室のPCまで案内していただき、作業を開始。
「あれ、何回やってもエラーだ」
順調に進んでいたはずだったが、困ったことに、ホームページのニュース機能が作動しなくなってしまった。
エラーが出たときは、まずエンジニアさんに連絡をとり、原因を一緒に探してもらう。原因がわかれば、修正したデータをメールでいただき、もう一度アップロード。それでもうまくいかなければもう一度、そしてもう一度……。
二時間程度の作業を予定していたが、お昼を過ぎてもなかなか終わらない。
「時間が伸びてしまって大変申し訳ありません」
「いえいえ、こちらの時間は気にしないでください!」
安堵の息が出る。エンジニアさんがデータの修正をしている間、何もしないのは申し訳なくて、細かいデータの整理をした。予定よりも一時間ほど長くかかり、ようやく作業が終わった。
「スマイさん、ありがとうございました」
「すみません、遅くなってしまって」
「いえいえ! よかったらこちら差し入れです」
手に握らせてもらったものは、オレンジのクッキーだった。
「え、いいんですか? ありがとうございます!」
「こちらこそありがとうございます!」
お昼を過ぎていたので、お腹がなりそうだ。校舎を出て、車の中でいただいたクッキーを食べた。オレンジの酸味と甘味が口の中にふわっと広がり、癒された。
体育の授業だろうか。グラウンドから、元気な声とホイッスルの音が聞こえてきた。私にもそんな時期があったなという懐かしいような、寂しいような気持ちになる。
「よし、帰ろう!」
私は、今でもあのオレンジのクッキーの優しい味が忘れられない。